ちむブログ

書評とか備忘録とか

2014-01-01から1年間の記事一覧

民事訴訟法判例百選まとめ・目次

※民事訴訟法では有用な演習書が少ないため,自主ゼミで判例百選のまとめを2頁ないし4頁で作成し,その趣旨と射程を確認するという作業をしていました。そこでは以下のようなものを作っていたのですが,今回は参考としてそれを記事にしておきます。 9.当事者…

刑法事例演習教材・目次

1.ボンネット上の酔っ払い 2.D子は見ていた 3.ヒモ生活の果てに 4.黄色点滅信号 5.ピカソ盗取計画 6.カネ・カネ・キンコ 14.燃え移った炎 20.クリスマスイブの事件 23.即断3連発 29.改ざんされた試験結果 32.車に乗せては見たも…

会社法事例演習教材・目次

※元の媒体からコピー&ペーストしているので脚注部分が全体的にずれています!修正をしていないのでその点は注意して読んでください! Ⅰ-1.株式の譲渡 Ⅰ-2.株主総会決議の瑕疵等 Ⅰ-3.代表行為と取引の安全 Ⅰ-4.競業取引・利益相反取引 Ⅰ-5.取締役の報酬…

民法総合事例演習教材・目次

◆第1部 契約◆ Ⅰ-1.契約の締結と合意の瑕疵(修正済・2014/10/19) Ⅰ-2.代理による契約の締結 Ⅰ-3.契約当事者の確定(更新未定) Ⅰ-4.契約の履行と受領障害 Ⅰ-5.契約の履行不能と危険負担 Ⅰ-6.契約不履行による損害賠償責任Ⅰ Ⅰ-7.契約不履行による損…

司法修習生の国民健康保険

1.はじめに 司法修習生になると国からの貸与金を受けて1年間の司法修習に臨む…そんな人が多数になるかと思われます。そして,大学からそのままロースクールへ進学し,司法試験に合格した人であれば,バイト等を除けば初めて社会に出ることになります。この…

40.留置場での悪巧み

留置場での悪巧み 第1 乙の罪責について 1 検討すべき罪責 乙はA検事に対して,甲の被疑事実に係る虚構の事実を供述して,供述調書を作成させている。これについて,証拠偽造罪(刑法104条)が成立しないか。また,乙のかかる供述は,甲に覚せい剤の認識がな…

38.自転車泥棒

自転車泥棒 第1 甲の罪責について 1 甲は,公道上に放置されたAの自転車に乗って自宅まで帰っている。甲のこの行為に窃盗罪(刑法235条)が成立しないか。 2 公道上に放置されたAの自転車にAの占有が認められるのか。Aの占有が認められなければ,Aの自転…

35.妄想と勘違い

妄想と勘違い 第1 甲の罪責について 1 殺人未遂罪の成否 (1)甲に殺人未遂罪(刑法199条,203条)が成立しないか。甲は自動車をAにぶつけて転倒させ,転倒したAを所持する包丁で刺して殺すつもりであったところ,実際にはBに車をぶつけて転倒させている。…

32.車に乗せてはみたものの…

車に乗せてはみたものの… 第1 甲の罪責について 1 自動車運転過失致傷罪の成否 (1)甲は自動車で走行中,草むらの陰から出てきたAにぶつかり,Aを転倒させている。これによって,Aは脳内出血を起こしており,生理的機能を害する傷害を負っているのであるか…

29.改ざんされた試験結果

改ざんされた試験結果 第1 甲の罪責について 1 甲は,A市の採用試験において,その試験結果原簿を作成し,当該採用試験を担当するBに提出している。甲はこのうちのDの試験結果について,虚偽の点数を記入し,採用試験の合格ラインを超えるようにした。この…

23.即断3連発

即断3連発 第1 甲の罪責について 脅迫罪の成否 (1)甲は,Bに対して,刃物を持っている旨を告げて,おとなしくしていれば殺しはしないなどといって,相手方を畏怖させるに足りる脅迫行為を行っている。甲の行為は,相手方の生命・自由に対して,害を与える旨…

20.クリスマスイブの事件

クリスマスイブの事件 第1 甲の罪責について 1 殺人罪の成否 (1)甲の殺人の実行の着手 甲は,Aに対し,大量の睡眠薬を飲ませてこん睡状態に陥れている。そして,そのAのいる家に火を放つことで事故に見せかけて,Aを殺そうとしている。 ア 甲がAに睡眠薬を飲…

14.燃え移った炎

燃え移った炎 1. (1)NTT所有の地下洞道において,通信ケーブルの断線探索作業を行っていた甲,乙及びその作業を見学していた丙は,断線個所を発見したため,その修理方法を検討するべく洞道外に退出するにあたり,その場に垂らされていた布製防護シート付近…

6.カネ・カネ・キンコ

カネ・カネ・キンコ 乙の罪責について (1)乙は,強盗目的でスナックCに入店していることから,管理権者たるDの意思に反する立ち入りであることは明らかであり,乙には建造物侵入罪(刑法130条前段)が成立する。 (2)乙は,スナックCに入店し,その店長のDに対…

5.ピカソ盗取計画

ピカソ盗取計画 甲の罪責について (1)甲は,A社倉庫に忍び込むために準備をして,倉庫の塀を飛び越え,敷地内に侵入している。これは倉庫の管理権者の意思に反する立ち入りであり,その敷地についても一体となって建造物への侵入として評価される。したがっ…

4.黄色点滅信号

黄色点滅信号 1.甲の罪責について (1)甲は,自己の運転する普通乗用車であるタクシーにBを乗せて,運行していたところ,交差点で左方から侵入してくるAの運転する普通乗用車と衝突し,それによって車外に放り出されたBは,脳挫傷の傷害を負って死亡した。 (…

3.ヒモ生活の果てに

ヒモ生活の果てに 1.甲の罪責について (1)甲は,当時2歳のBに対して,その東部右側を手拳或いは裏拳で断続的に5回殴打をし,仰向けになって倒れて意識を失った後も放置した。翌日Bは死亡している。 Bは甲の上記行為によって,硬膜下出血,くも膜下出血等を…

2.D子は見ていた

D子は見ていた 1.本件財布の領得について (1)甲は,6回のベンチにおいてあったAの財布(以下,「本件財布」)をもって,現場から走り去っている。本件財布はAがベンチに置き忘れたものを甲が窃取したものであるが,甲の窃取行為時に本件財布に対するAの占有[1]…

1.ボンネットの上の酔っ払い

ボンネット上の酔っ払い 1.Aに対する罪責 (1)甲はAの顔面を手拳で一回殴打しており,これは不正な物理力の行使として暴行の実行行為に当たる。したがって,かかる行為は暴行罪(刑法208条)の構成要件に該当する。 (2)しかし,かかる行為はAによる侮辱的な発…

109.引受承継人の範囲

民事訴訟法判例百選109事件-引受承継人の範囲 -最高裁昭和41年3月22日第三小法廷判決- 1.事案の概要 XはYに土地を賃貸して,Yはその土地上に建物を所有している。XがYに対して,Yの無断増築による契約解除及び期間満了を理由として,建物収去土地明渡請求…

96.通常共同訴訟人独立の原則-当然の補助参加

民事訴訟法判例百選96事件-通常共同訴訟人独立の原則-当然の補助参加 -最高裁昭和43年9月12日第一小法廷判決‐ 1.事案の概要 XはY1に本件土地を賃借し,Y1はその土地上に本件建物を所有した。その後,本件建物は強制競売に付され,Y3が取得し,所有権移転…

87.口頭弁論終結後の承継人

民事訴訟法判例百選87事件-口頭弁論終結後の承継人 -最高裁昭和48年6月21日第一小法廷判決- 1.事案の概要 土地甲はAの所有名義に登記されていたが,Yがこの登記はAとYの通謀虚偽表示によるものであって,同土地はYの所有に属すると主張して,Aに対して,所…

80.信義則による後訴の遮断

民事訴訟法判例百選80事件-信義則による後訴の遮断 -最高裁昭和51年9月30日第一小法廷- 1.事案の概要 A所有の土地について,自作農創設特別措置法による買収処分があり,同土地がBに売り渡された。その後,A・Bが死亡し,Aの相続人の一人のX1が,Bの相続…

76.引換え給付判決

民事訴訟法判例百選76事件-引換え給付判決 -最高裁昭和46年11月25日第一小法廷判決- 1.事案の概要 XはYに対して,木造2階建て店舗の階下部分(以下,「本件建物」という。)を賃貸していた。契約は当初昭和28年に締結され,2年ごとに更新され,最後は昭和3…

52.裁判所の釈明権

民事訴訟法判例百選52事件-裁判所の釈明権 -最高裁昭和45年6月11日第一小法廷判決- 1.事案の概要 Xは,Y1会社,その代表者Y2,取引相手Aを相手に売掛代金の支払いを求めて訴えを提起した。そこでの法律構成は,XとAが売買契約を締結し,その代金支払いにつ…

47.当事者からの主張の要否(2)代理人による契約締結

民事訴訟法判例百選47事件-当事者からの主張の要否(2)代理人による契約締結 -最高裁昭和33年7月8日第三小法廷判決- 1.事案の概要 Xは,昭和24年3月18日,Yとの間で,Yが買い受ける黒砂糖をXが斡旋すると約束し,同年3月から4月までの間に黒砂糖4300斤を…

28.将来の法律関係の確認

民事訴訟法判例百選28事件-将来の法律関係の確認(雇用者たる地位の確認) -東京地裁平成19年3月26日判決- 1.事案の概要 損害保険業等を目的とする株式会社Yは,Xらを損害保険の募集業務等に従事する外勤の正規従業員である契約係社員(Yにおいてはこれを「リ…

22.将来給付の訴え

民事訴訟法判例百選22事件-将来給付の訴え(大阪国際空港事件) -最高裁昭和56年12月16日大法廷判決- 1.事案の概要 大阪国際空港周辺の住民Xらは,同空港の設置・管理主体である国Yに対して,①夜9時から翌朝7時までの間の空港機の発着の差止め,騒音による…

9.当事者能力と登記請求権

民事訴訟法判例百選9事件-当事者能力と登記請求権 -最高裁昭和47年6月2日第二小法廷判決- 1.事案の概要[簡略ver.] 権利能力なき社団であるAは,その資産として本件土地建物を有していた。その登記名義については,現行登記実務上権利能力なき社団名義の…

103.補助参加の利益

民事訴訟法判例百選103事件-補助参加の利益 -東京高裁平成20年4月30日決定- 1.事案の概要 訴外Aは,沖縄でレンタカーを借りる際,Y損害保険会社との間で,Yを保険者,訴外Pリース会社を保険契約者,Aを被保険者とする「搭乗者傷害保険契約」を締結した。し…