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民法総合事例演習教材

Ⅲ-13.債権譲渡Ⅱ-抗弁権の問題を中心に

Ⅲ-13.債権譲渡Ⅱ-抗弁権の問題を中心に 1.X→Yへの請求 (1)前提 AYは請負契約を締結して,その報酬債権としてAはYに対して5000万円の報酬支払請求権を有している(これを「α債権」という。)。そして,資金繰りに窮したAは,このα債権をそのXに対する借入金…

Ⅲ-12.債権譲渡Ⅰ-譲渡禁止特約や対抗要件問題を中心に

Ⅲ-12.債権譲渡Ⅰ-譲渡禁止特約や対抗要件問題を中心に 1.X→Y1への請求 (1)前提 Xは,XA間の金銭消費貸借契約について譲渡担保として譲り受けたAのY1に対する請負代金支払請求権について,Yに支払いを求めたい。ここで訴訟物となるのは,AのYに対する請負報…

Ⅲ-11.動産譲渡担保

Ⅲ-11.動産譲渡担保 1.X→Yに対する請求 (1)前提 Xは,Yに対し,所有権に基づく物権的返還請求権を行使することが考えられる。すなわち,BはXに対する貸金債権について,仕事場及び甲土蔵にある制作済美術工芸品及びその材料(以下,「α」という。)を譲渡担…

Ⅲ-10.不動産譲渡担保

Ⅲ-10.不動産譲渡担保 1.X′→Yへの請求 (1)前提 Xの破産管財人X′はYに対して,甲の所有権に基づく妨害排除請求権としての所有権移転登記抹消登記請求権を行使して,甲のY名義の所有権移転登記の抹消を求めることが考えられる。 (2)請求原因 そのための請求原…

Ⅲ-9.物上代位と相殺

Ⅲ-9.物上代位と相殺 1.X→Yに対する未払い賃料の支払い請求 (1)Xは抵当権に基づいて物上代位権を行使し,AのYに対する賃料債権を差し押さえて,Yに対して,未払い賃料の支払いを求めることが考えられる(民法372条,304条)。 Xは,まず裁判所に対して差押え…

Ⅲ-8.担保保存義務

Ⅲ-8.担保保存義務 1.Gが甲上の抵当権を無償で放棄する場合 (1)B2との関係 ア 民法504条によれば,① 民法500条の規定により代位をすることができる者の存在 ② 債権者の担保喪失・減少行為 ③ ②についての債権者の故意・過失 の三要件が満たされた場合には,①の…

Ⅲ-7.弁済者代位と共同抵当

Ⅲ-7.弁済者代位と共同抵当 1.B→Sに対する請求[1] (1)事後求償権による請求 ア BはSに対して,委託を受けた委託保証人の事後求償権を行使していうことが考えられる。Bは,G1との間で,SのG1に対する債務を(連帯して)保証する旨の合意をしており,その保証…

Ⅲ-6.抵当権と利用権

Ⅲ-6.抵当権と利用権 1.RからM1~M4,Sへの請求について (1)請求原因 Rは,引渡命令(民事執行法83条1項)により,M1~M4・Sに対して本件土地・建物の明け渡しを求めることになる。これは本件マンションを売却した執行裁判所に対して申出をすることによって…

Ⅲ-5.債権者代位権・抵当権と妨害排除

Ⅲ-5.債権者代位権・抵当権と妨害排除 1.case1について (1)X1→Z1に対する請求 ア 前提 X1とZ1の間には,直接の権利義務関係を基礎づける事実は見当たらない。しかし,X1はYに対して貸金債権を有しているところ,Yには第三者に対する債権以外にめぼしい財産が…

Ⅲ-4.詐害行為取消権

Ⅲ-4.詐害行為取消権 1.X→Y3への請求 (1)XはY3に対して,XA間で締結された賃貸借契約の賃貸人たる地位がY3にあるとして,その契約に基づく甲の使用収益を求めたい。しかし,Y3がこれを拒んでいるので,Xは賃借権に基づく妨害排除請求権によってこれを実現し…

Ⅲ-3.保証債務

Ⅲ-3.保証債務 1.XのY1に対する保証債務履行請求 (1)Y1はY2とともにAがXに対して有する一切の取引上の債務について保証する旨の保証契約を締結している。そこでXはY1に対して,この保証債務の履行を求めていくことが考えられる。ここでのXの請求権は保証契約…

Ⅲ‐2.消滅時効

Ⅲ‐2.消滅時効 1.BのGに対する抹消登記請求 (1)Bはその所有する甲土地に,G株式会社の所有権移転登記の登記名義があるため,その所有権に基づく妨害排除請求により所有権移転登記抹消登記手続請求をしていくこととなる。所有権の円満な保持が登記によって害…

Ⅲ‐1貸金債権と利息債権

Ⅲ‐1貸金債権と利息債権 1.XのYに対する請求(α債権について) (1)請求権の法的構成 Xは,Yに対して,2005年2月8日,200万円を渡しているが,これは貸金であると主張している。そこでXとしては,金銭消費貸借契約に基づく貸金返還請求権およびこれに対する利息…

Ⅱ-14.団体の法律関係

Ⅱ-14.団体の法律関係 第1 XのYに対する甲の引渡し請求 請求原因 (1)RはY法人(一般社団法人・一般財団法人法3条(以下,「法人法」とする))の代表理事(法人法77条1項)としてXとの間で甲の売買契約(民法555条)を締結しており,当該売買契約の効果はXY間に帰属…

Ⅱ-13.請求権競合―安全配慮義務違反と不法行為責任

Ⅱ-13.請求権競合―安全配慮義務違反と不法行為責任 第1 XのMに対する損害賠償 請求権相互の関係 (1)XはMに対して,損害賠償請求をしていきたい。そのための法律構成としては,(ⅰ)MのAに対する不法行為に基づく損害賠償請求権(民法709条)を相続したと構成す…

Ⅱ-12.共同不法行為

Ⅱ-12.共同不法行為 第1 XのY・Aに対する損害賠償請求 1.XのAに対する不法行為に基づく損害賠償請求 (1)Xは民法709条によって不法行為に基づく損害賠償請求権を訴訟物とする請求を行っていくことが考えられる。 (2)そこでの請求原因は,①Xの権利・法益侵害…

Ⅱ-11.工作物責任・営造物責任

Ⅱ-11.工作物責任・営造物責任 第1 XのPに対する損害賠償請求 法律構成 XはP県に対して,県道96号線およびフェンスの設置ないし管理の瑕疵を理由とする損害について,国家賠償法2条に基づく損害賠償請求を行うことが考えられる。ここでの訴訟物は営造物責任…

Ⅱ-10.医療過誤・使用者責任・製造物責任

Ⅱ-10.医療過誤・使用者責任・製造物責任 第1 XのYに対する損害賠償請求 法律構成 死亡したAの子Xとしては,医療法人Yに対して,その経営するQ病院の業務従事者たるHの行為についての責任又はその法人Y自体の行為の責任を追及していくことが考えられる。こ…

Ⅱ-9.交通事故による人身侵害

Ⅱ-9.交通事故による人身侵害 第1 AのQに対する損害賠償請求 訴訟物 (1)AはQに対して,Kの不法行為について,その監督者足るQに責任を追及するというもので,民法714条による損害賠償請求をすることが考えられる。すなわち,ここでの訴訟物は監督者責任に基…

Ⅱ-8.名誉棄損・プライバシー侵害

Ⅱ-8.名誉棄損・プライバシー侵害 第1 XのAに対する不法行為に基づく損害賠償請求 名誉権侵害における請求原因 (1)Xとしては,Aの執筆・企画にかかる単行本『カネとヨクにまみれた関西の俳優・タレント百選』(以下,「本件単行本」とする)によって,自己の名…

Ⅱ-7.物への費用投下と原状回復

Ⅱ-7.物への費用投下と原状回復 第1 MのYに対する工事代金600万円の支払請求 訴訟物 MはYに対して,以下の構成によって工事代金を請求することが考えられる。 (1)まず,MがYを代理してXと請負契約(民法632条)を締結しており,そのXに対する報酬支払債権をMが…

Ⅱ-5.賃貸借契約における地位の移転と対抗

Ⅱ-5.賃貸借契約における地位の移転と対抗 第1 XのBに対する甲土地明渡請求 訴訟物 Xは甲土地の所有権に基づいて,Bに対して所有権に基づく返還請求権としての土地明渡請求権を訴訟物とする建物収去土地明渡請求をしていくことが考えられる。 請求原因 (1)X…

Ⅱ-4.金銭所有権の特質と原状回復問題

Ⅱ-4.金銭所有権の特質と原状回復問題 第1 XのMに対する200万円の返還請求 1.XのMに対する不当利得返還請求権 (1)請求原因 Xとしては,Mに対して誤って振り込んだ200万円を,不当返還請求権に基づいて返還請求していくことが考えられる。Xは誤って仕向銀行に…

Ⅱ-3.動産の転々譲渡と即時取得

Ⅱ-3.動産の転々譲渡と即時取得 第1 XのYに対する所有権に基づく返還請求権としての甲引渡請求について 請求原因 XはYに対して,甲の所有権に基づく物権的請求権としての返還請求権によって甲の引渡しを求めることが考えられる。物権はその適法な所有を侵害…

Ⅱ-2.不動産の譲渡と取得時効,相続による占有の承継

Ⅱ-2 不動産の譲渡と取得時効,相続による占有の承継 第1 XのZに対する所有権に基づく返還請求権としての土地明渡請求権について 請求原因 (1)XはZが甲土地上に乙建物を所有して甲土地を占有しているとして,その甲土地上の乙建物を収去して土地を明け渡すよ…

Ⅱ-1.不動産の二重譲渡と転々譲渡―解除と登記

Ⅱ-1 不動産の二重譲渡と転々譲渡―解除と登記 1.XのYに対する所有権に基づく妨害排除請求権としての所有権移転登記請求 (解除前の第三者) (1)請求原因 XはYに対して,Xの所有に属する甲土地(以下,「甲」とする)について,その所有権登記をYが有しているとし…

Ⅰ-13.契約関係と不当利得

Ⅰ-13 契約関係と不当利得 1.XのYに対する所有権に基づく生コンクリート1000㎥(以下,「生コン」とする)返還請求 (1)請求原因 XはYに対して,生コンの所有権に基づく物権的請求として,生コンの返還を請求することが考えられる。所有権に基づく物権的請求…

Ⅰ-12.賃貸借における契約当事者の変動

12.賃貸借における契約当事者の変動 1.XのYに対する所有権に基づく返還請求権としての建物明渡請求 (1)請求原因 Xは所有権に基づきYが現在乙を占有することで侵害しているXの乙所有権の回復を求める物権的請求権として乙建物の明渡請求権を求めることが考え…

Ⅰ-10.賃貸借契約の解除と終了Ⅰ

Ⅰ-10 賃貸借契約の解除と終了Ⅰ 1.XのYに対する賃貸借契約に基づく賃料支払請求権 (1)請求原因 XはYに対して,賃貸借契約(民法601条)に基づいて,賃料の支払いを求めることが考えられる。しかし,どのような要件の下で賃料支払い請求が認められるかは争いが…

Ⅰ-9.請負の担保責任

Ⅰ-9 請負の担保責任 <仕事完成後> 1.XのYに対する修補請求 (1)請求原因 XはYに対して,乙を車庫に入庫できるように甲を修補するように求めているが,これはいかなる根拠に基づいて行うことができるのか。まず,一つは請負契約に基づく仕事完成債務の履行と…